種をまこう!

「お金」と名づけた紙きれに、人間は独自の価値を置いている。お金は象徴であり交換手段。良いも悪いもない。子どもと過ごす時間より、高収入に価値を置くなら、それが私たちの価値になる。お金の価値ではなく、私たちの心と思考の価値。だから金融機関も、私たちが悪用しなければ悪くなり得ず、私たちが良く使わなければ良くもなり得ない。

でも、この貨幣制度から、そろそろ卒業する時期ではないだろうか?何世紀も前につくられ一度も変わらず、新しい価値観を反映していない。変えるのは私たち自身だ。必要とされる変革を金融制度に訴えるべきだ。

私たちはエネルギーや水の乱用、食糧や先住民に対する誤った扱いにより、この地球に負った借金を返していかなければならない。それができる貨幣制度が必要だ。私たちの子どもの世代がそのツケを払うことになれば彼らは5歳になる前に破産し、死ぬまで私たちの借金を返済し続けなければいけなくなるだろう。私たちの生活は、手にするものに対価を払うという現実からずっと遠ざかってしまった。農家は6か月育てて作物を収穫する。もし彼が雑草を殺す毒を土にまき、人間の遺伝子を傷つけたとしたら、彼はその報いも受ける。もし彼が有機作物を育てれば、彼は別のものを収穫できる。毒を使う農家は収入を得るが、危険な野菜を食べた人たちの医療費は負担しない。悪いのはお金ではなく、彼やその仲間たちの低い価値観だ。

必要なのは、互いにつながり合ういのちを大切に思う農家。地球という私たちの「家」を大切にするために、新しい考え方を促してくれるような貨幣制度。地球を大切にする企業活動を行えば行うほど金融機関に出資が集まる制度はどうだろう?大企業と合弁で新しい有機農家のための「種ファンド」を立ち上げるのは? 金融機関の顧客が出資して新しく「プラネット・シード大学(地球と種のための大学)」を設立し、その金融機関が資金運用をするのはどうだろう?これらはすべて、実現可能なアイデアだ。

もっと日常的に手を泥で汚す生活に戻ろう。土は私たちのいのちの根。未来の種だ。悩みがあったら地面に腰を下ろして土を掘ってみるといい。私たちはお金を稼ぐことに忙しすぎて、こんなシンプルなことを忘れてしまった。白いシャツにピカピカのマンション、高級車や便利な食べものに固まれて私たちは清潔になり過ぎている。地球に触れよう、地球が私たちに触れられるように。私たちの地球を一緒につくろう!


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2013年10月号」掲載の本稿を転載させていただきました。