種をまこう!

金融機関は資金を運用する。蓄え、保管し、資金から資金を生み出す。ただ問題は、実在するお金には常に限りがあること。

もし、すべてのお金が金融機関にあれば、人々の手元にはお金がなくなる。それではただ借金だけが増え続け、いずれ人は死んでしまう。食べものや種と同じで、一部の人々が必要以上に食べれば、ほかの人たちは食べものがなくなり、飢え、いのちを落とす。

図書館は、有益な情報の貯蔵庫だ。図書館には利用されるよりも多くの情報があるから、情報を無料や少額で貸し出すことができる。大勢の人が図書館の情報を借り出して、自分自身の人生や地域の暮らしをよりよくするために活用する。情報はめぐり、循環する。

「ペニー硬貨はぐるぐる循環するために丸く作られている」と、私の祖父は言っていた。お金が一カ所にとどまることは、いのちとエネルギーの自然法則に反する。では、どうすれば金融機関を図書館のように、つくり変えることができるだろう?

パキスタンではそれが実現した。グラミン銀行は、家庭を支える女性による小規模・地域事業へ資金を融資する。女性たちはパンを焼いたり、洗濯を請け負ったり、服を縫ったりして事業を回す。これらの小規模融資は決して債務不履行にならなかった。資金は循環し、人々の生活も循環したのだ。もしかすると、カギを握るのは女性かもしれない。男性は蓄え、権力を求める。女性は育み、暮らしを大切にする。

図書館は“提供”する。金融機関は“保持”する。私たちに必要なのは、いのちの種だ。小さな地域の小さな図書館。地域の課題には、地域のつながりが不可欠である。ギブ&テイク、満月と新月の干潮と満潮のように。生きる時、死ぬ時。いのちの営みには、呼吸、リズムがある。

もし図書館に、地域の人々がいつでもアクセスして借り出せる資金があり、活用して返済し、次の人がまたそれを生かすことができたらどうだろう・・・。お金だけではなく、生きた情報も一緒に。

それこそが、本当の「いのちの図書館」。本当の金融制度。個人ではなく、地域を育むために存在する。ぐるぐる循環するように丸くつくられた制度。それはまるで輪廻、太陽系のサイクルのように。信用金庫には、地域における「資金の図書館」になる可能性があるのではないだろうか。


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2014年8月号」掲載の本稿を転載させていただきました。