種をまこう!

もし銀行をつくるなら、ビル、机、電話、パソコンを借り、“銀行 融資します” と看板を出す。それだけでいい?

頑丈な金庫の中にあるのは印刷されたただの紙。ローンの返済を保証してくれる金(gold)や翌年必ず増える米先物など自然界には存在せず、人間の間だけの決め事。それはパソコンやそろばん上の数字だけで、実体がない。

国が発行する紙幣も、国の信用の裏づけに基づいた支払いの約束にすぎず、現実ではない。ただの約束。国は全国民の「紙約束」を保証する金(gold)など持ち合わせていない。もし今日、全国民が銀行に行き、約束どおりの現金、金(gold)、米を請求すれば、銀行は1時間で倒産するだろう。

例えば、田中さんが来店する。
「融資をご希望ですか?」
「いいでしょう。200万円、10年以内に返済してください。利子は10%です、よろしいですね?この借用書にサインしてください。もし返済できない場合は法廷に訴えます。家をお持ちですよね?それではここにサインしてください」。

田中さんは、高齢で買い物に出歩けなくなった母親のために車を買うつもりだ。この10%の利子はどこからくるのだろうか? 日ごとに増える利子…。

国は必要な時に紙幣を印刷するが、田中さんの利子分の紙幣は印刷しない。では、田中さんはどこから利子分のお金を得るのか?誰かから横取りする?人より働いてほかの人の給料分まで稼ぐ?それならば家族や母親との時間は諦めるしかない。

田中さんは努力したものの、利子を返済できなかったとしよう。銀行は彼の借用書を別会社に売り渡し、その会社は田中さんを訴える。会社は田中さんの母親から車を取り上げ、家を売り払い、家族を路上に放り出すだろう。

よく確認してほしい。法律では、他人の所有物を勝手に売るのは違法行為だ。銀行はお金を売るが、銀行はお金も金(gold)も米も、もともと所有しているわけではない。

だとしたら、銀行と取り交わした借用書は無効ではないか。紙幣も無効。銀行業務も無効。現在の金融システムは、誤った前提に立っていないか。誰かから奪うことなしに、持ってきたお金を10%増やすことは不可能だ。倫理はどこへ? 民主主義はどこへ?

取引の新しい基盤、システムが必要だ。米はどうだろう。私たちはかつて貨幣の代わりに米を使っていたのだから。米は1年で実り、必ず増える。

もう一度考え直そう。お金をめぐる仕組みを。金融機関のあり方を。


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2015年4月号」掲載の本稿を転載させていただきました。