種をまこう!

日本では、少なくとも500年以上にわたり、盆踊りが踊られている。お盆になると、ご先祖様たちが家族のもとへ帰ってきて、家族や地域の絆を深く結び直してくれる。

あなたの子どもたちは、地元の盆祭りの踊りや歌を知っていますか? 答えはNO ? 私は、いま知っていることのほとんどを、祖母から教わった。

思い上がりが過ぎると、机にぶつかる。自分を強く出し過ぎれば、木に頭をぶつける。機嫌悪くし過ぎていると、周りに誰もいなくなる。こんなとき私は、祖母が今もそばで私を見守り、時に叱ってくれているように感じる。

あなたの子どもたちは、ファストフード店やコンビニの最新のCMソングなら知っていますか? 答えはYES ?
一家の菩提寺はどこへ行ってしまったのでしょう? お盆は、私たちが地球と共に生きる生き方を取り戻し、未来へつないでいくために不可欠なものだった。それが祭りの魔法(マジック)。

祭りは実体験をもって、私たちの絆を強めてくれる。土地や農作物、地域に感謝し、それらを讃える場。一年のリズム、成長の指標。

以前は誰もが、一膳分の米を作るのに9か月かかることを知っていた。だから、「ご馳走さまでした」の本当の意味が、深い敬意と畏敬の念をもって共有されていた。

今の私たちの1週間、1か月のサイクルはどうだろう? 毎月の給与、家賃と光熱費、売上目標に学力テスト。ファストフード店のハンバーガーも、“ご馳走” だろうか? 連続ドラマを見逃すと落ち着かない?地域の寺社は、コンビニやATMに取って代わられてしまったのだろうか。

米を育てる人は、倉庫に数年分の備蓄があるので、くつろいで微笑むことができる。サラリーマンは、翌月の食費が十分か、毎月心配しなければならない。現在の都市部では、“ハナキン”が地祭りのようだ。証券取引所のピークのように短い命。

もし地域の文化を捨てるのなら、新しいものに置き換えよう。

私たちの本当の文化、私たちを本当に育ててくれた祖父母やご先祖様たちを思い出そう。彼らが“本物の種”=今の私たちを蒔いたのだ。本物の未来を育てるために。祖父母やご先祖様たちに改めて敬意を払おう。そして「本物」に育とう!

日本はかつて、「米」という本物の富を交換手段としていたのに、世界銀行がその文化を奪ってしまった。日本を一度リセットし、日本が本来持っていた価値を復活させよう。

日本のソウル・フードを食べよう。日本の歴史にふさわしい未来を創ろう。本物の種は、常に暗闇の中から、本物の光に向かってその芽を伸ばしている。


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2015年8月号」掲載の本稿を転載させていただきました。