種をまこう!

またこの季節がやってきた。雨、雨、雨。500円傘を買い、靴をよく乾かして…こうしてやり過ごす以外にないのだろうか?

ちょっと見直してみよう。

梅雨の時期は月のサイクルに呼応している。人間はこのことを何万年も昔から知っている。水、雨、潮、月の引力と斥力(せきりょく)。人間の体も植物も75%が水分、つまり人間と植物は同じ道の上を並んで歩んでいるのだ。人間は昔からこれを利用して食物を育て、祭りの時期を決めてきた。

春から夏に向けて水分の増減が繰り返されると、新しい根や葉は次なる成長のために、さらに水を必要とする。自然のタイミングはいつも、その年のその種にとって完璧にできている。来る年も来る年も。だから、自然のサイクルの中で生きる在来種のDNAは強くなる。その土地の最新のウイルスや病気、天候や土壌の状態に合うように育つからだ。

漢字の中にはそのヒントがある。日本語は英語のように二次元的な言語ではない。漢字には私たちの目に映るイメージが用いられている。細かいパーツの羅列で、崩れることもなければ変化もしないアルファベット文字からできた単語よりも、リアルなコミュニケーションに近い。

「みる」ことは、生命のリズムそのものを感じとること。想像すること。それは4次元、5次元までをも包含する。言語は心。単語からは決して全体をみることはできない。単語は分断するもので、螺旋(スパイラル)を描くことはない。詩だけが、単語という論理の檻を越えて「みる」ことに近づくことができる。

地球が再生しようとしている今まさにこの瞬間、私たちはものを「みる」新しい方法を見出さなければならない。私たちの日々の行動が、地球、遺伝子、食べものの新しい螺旋をつくり出す。私たちの日々の行動は小さくても、地球の新しい螺旋をつくり出すだけの力を持っている。遺伝子は私たちの物語だ。私たちは日々の行動によって、遺伝子螺スパイラル旋の新しい物語を書いていかなければならない。

地球の次なるステージにとって、最もふさわしい行動とは何か。それは過去の行動の繰返しではない。親やその上の世代とは明らかに異なるものだろう。新しい言葉と明確な物語が、より深い洞察と行動への道標となる。

「みる」ことができれば、私たちは次のステージを想像することができる。新しいライフスタイル、新しい交換制度、子どもたちの新しい未来が「みえる」ようになる。既存の行き詰まったパターンの繰返しから抜け出すことができる。

想像力こそが、新しい交換システムや新しいコミュニティへと私たちを照らし導いてくれるだろう。


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2016年6月号」掲載の本稿を転載させていただきました。