種をまこう!

美しいものは感謝の念を呼び起こす。自然は毎日私たちの前に広がる美。私たちの家、「地球」を再生させよう。キノコの根、菌糸体は再生の良いモデルだ。菌糸体は土壌や植物ばかりでなく、気候、地球、生命をも育む。にもかかわらず、私たちはこうした目に見えない世界のことを、ほとんど何も知らない。目に見えるものを生み出す、目に見えないもののことを。

自然には知性がある。でも、私たちは自然と通じ合うための言語力を持ち合わせていない。問題は私たちのほうにある。私たちは自然とコミュニケーションをとることができていない。

今、私たちにとって必要なのは、この自然の言語を学ぶことだ。成長するためにどの水が必要かを選別するバクテリア、遠吠えで月を満月へと導くオオカミ、植物の根が確実に土壌を育てる仕組み、受粉のために花を開かせるミツバチの羽音の歌、危険や獲物に接した際に、深海生物が放つ光…。

自然と通じ合う術を持たなければ、私たちは間もなく自滅の道をたどる。銀行も経済も意味を持たなくなる。私たちは、お金を食べることはできない。でも自然は生き延びる。自然は人間よりもずっと柔軟で回復力がある。人間が自然と共生して繁栄するためには、生命とDNAのスパイラルを上らなければならない。そして、意識のパラダイムシフトを起こす必要がある。

私は毎日努力している。努力することこそが行動だ。どれだけの人が努力を怠っているだろう?もし私たちのひと呼吸ひと呼吸が、将来、何千人もの生命を救うと知っているなら、私たちはもっと意識して呼吸するのではないだろうか?

自然は「善」なる力だ。善とは単なるコンセプトではない。コンセプトとは、意識上の言葉にすぎない。言葉は繰り返すことができるが、善はスピリットとして生きているもの。この善のスピリットが生き続けるようにしな
ければならない。

私はこの善のスピリットで毎日を生きたい。獲得する、所有する、奪う、守る、制限する、維持する、ため込む、などという二次元の世界に引きずり込まれることがないように。

生命は本来、繁栄する性質を持っている。私たちの意識でそれを妨げることなく、生命の力を止めることなく繁栄させよう。菌糸体を土壌いっぱいに広がらせ、地球温暖化を覆し、子どもたちの未来を豊かに実らせよう。この生き生きした美は、感謝の念を呼び起こす。この感謝の念は、私たちに唯一与えられたギフト(贈りもの)。

今日、この日がギフト。毎日を、これが最後のギフトと思って生きよう、与えよう。あなたの周りのものすべてを感謝の念であふれさせよう。ギフトはあなただけへのギフトではない、生命あるものすべてへのギフトだ。

これこそが本当の銀行。生命の銀行。毎日種をまこう、この生命の銀行に。


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2017年8月号」掲載の本稿を転載させていただきました。