種をまこう!

何千年もの間、私たちが使いすぎ、消費しすぎてきたものを復元させるためには、新しいストーリー、新しい行動が必要だ。フードチェーン、教育、財政、社会的行動、すべてにおいて、新しい社会的意識を創り出す必要がある——それは「返す」こと。日々の暮らしの中で、自分たちが使うよりも多くを返すこと。それは可能だ!

真のECO-nomy。それは、何千年もの間、人間が取り出し続けてきた共有資源を復元させるための交換システム。自然は何十億年にもわたり、このECO-nomyを営み続けてきた。

まだ始まって数百年にしかならない近代社会制度は、借金に基づくマイナスの制度。貨幣のみに基づく交換制度は、95%の利用者にとっては常にマイナスで、5%の利用者だけにとって常にプラスとなる。彼らは資産を貸し出し、この世界の「自然経済」に何の支払いもせずに利益を受けるだけ。私たちは、ひ孫たちの分までも新鮮な清水を飲み干し、食べものの種を食べ尽くし、4世代先の森林まで伐採してしまった。もう「返す」時だ!

木々はガスや空気や水、栄養分を交換し、森というECO-nomyを創り出している。誰かのゴミはほかの誰かのランチにもなる。私たちはかつて、労働力や賃料を米で支払い、藁や糞を土に返して土を豊かに育てていた。孫と一緒に手作業をし、大切なことを伝承していた。返すには様々な方法がある。

私は、自然農法で育てた野菜を作っている人々が何百人も集まる大きなコミュニティに出会ったことがある。ここの食べものの栄養価は高く、彼らの身体や土壌には化学薬品の毒は入っていない。これは立派な「返す」行為だ。彼らは土壌に、空気に、水に、フードチェーンのDNAに、子どもたちの健康に、友人や仲間たちの喜びに「返し」ている。これこそがECO-nomyだ!本物の未来のため、本物の食べものの価値が交換されている。上昇するスパイラル。それは可能だ。

今の日本には、農産物にGAP(農業生産工程管理)レベルの社会的意識がない。安価なF1種と化学食品工業に合わせて価格設定され、農家は損をしながら有機作物を生産する。消費者も生産コスト以下の食品価格を求める。食べものをカロリーと値段だけで評価し、誰も栄養価を気にしない。JASのオーガニック基準よりもっと高度なGAP基準が、多くの国の標準なのだが。

本物の食べものは、本物の種から作られる。栄養と英知がぎっしり詰まった何十億年もの古いDNA。このような食べものに値段は付けられない。在来種の種を守り育てる本物の農家の取り組みに、私たちはどうやって支払うことができるだろう?

私たちはオリンピックの借金も、20年にわたり税金で返していく。あなたは20年後もここにいますか?それともこのツケを払うのは私たちの子どもたちですか?これは「返す」ことですか?本物のECO-nomyを選ぼう。あなた自身の未来を育てるために、今日、最初の種を蒔こう!


謝辞:このページは、一般社団法人全国信用金庫協会のご厚意により、業界機関誌「Monthly信用金庫 2017年10月号」掲載の本稿を転載させていただきました。